A3. 自分の時間 ~子と離れてゆとりを~

3年前に『子育て向上委員会』を創刊したさい、たくさんのお母さん方から励ましのお便りをいただいた。創刊号では「託児にまつわるエトセトラ」と題して、託児付きの美容院、スポーツクラブ等を紹介したのだが、そのようなサービスについて「今まで知らなかった」という声が多数を占めていた。「子どもを産んで1年以上、美容院にも行けなかった」という声すらあった。確かに、子どを持つと、自分のためだけの時間を確保するのは非常に難しくなる。

「自分の時間がほしい」、そう思いながらも、「少しでも離れたら子どもによくないのではないか」と自分に問いただしている母親たち。「3歳児神話」は、子育て中の母親にとって、良くも悪くも気になる存在なのだ。

昨年、石川県から発行された「子育て応援情報誌いしかわ」の中に、石川のお母さん1000人を対象にしたさまざまなアンケートが掲載されている。その中のひとつ、「趣味や美容院など、自分がリフレッシュするために子どもを預けることについて」、後ろめたいと感じる人、いいことではないと感じる人、両方を合わせると、全体の3分の1にも及ぶ。

もちろん、それで楽しく育児ができるのであれば、いうことはない。ただ、「本当はリフレッシュする時間がほしいのに、後ろめたくてできない。結果として子どもにあたってしまう」というのであれば、皮肉な話だと思う。
 趣味やリフレッシュのために子どもと離れる時間を持つことは、決して悪いことではない。むしろ、自分のための時間は、毎日の生活を豊かにする。朝から晩まで育児に関わっていなくてはいけない、と思うからつらくなる部分もある。

幸い石川県には、育児中にリフレッシュをしたいときに、受け皿となるサービスが整ってきつつある。昨年から、金沢市武蔵、金沢市竪町、七尾市、小松市で展開している街角ほっとサロンのサービスが始まった。商店でショッピングをするさいに、90分から2時間、無料で子どもを預かってくれるというものだが、実際に利用した方の間では非常に好評だ。子どもを預けて、友達とゆっくりお茶を飲むのもいいだろう。夫婦で恋人同士のような時間を楽しむのもいいだろう。

ゆとりを持つことで、子どもの一挙一動が、ぐっとかわいらしく映るようになるのだから。